荒川対岸の安曇幹線と黒部幹線

 これで秩父盆地を離れ荒川対岸へと渡る。林道から黒部幹線沿いに山の上まで登り、そこから尾根沿いに安曇幹線。こんどは安曇幹線ぞいに下る予定だ。道がちゃんとあれば良いが。

黒部幹線667号
黒部幹線667号


 山に取り付いて最初の鉄塔が黒部幹線667号。1連の懸垂碍子の先に重石をつけたジャミラだ。昭和2年10月。原型。
 すぐに谷の上の方にがーんと666号が立っている。径間がとても短い。666のさらに上には665号。これで尾根に出るはずだ。
 666は667と同型のジャミラ。碍子に重石はない。665はとんがり帽子の耐張鉄塔に変わる。


黒部幹線666,665
黒部幹線666,665
奥秩父変電所
秩父変電所


 666号の辺りは伐採が行われていて眺めがとても良い。荒川を隔てて対岸の山の上には安曇幹線313号、奥秩父線2号。平地には奥秩父変電所もよく見える。

 尾根に出る。尾根の上の665も昭和2年の原型だ。667、666と3本原型が続く。飛ばしてきた668号もジャミラで原型と思われるから荒川土手の669から原型がずっと続いているようだ。


 結界はきれいに切り開かれた芝生。寝転がりたいがクマンバチがいて…。結界から見た鉄塔は1連耐張碍子がとてもシンプル。

黒部幹線665の鋼材 黒部幹線665の鋼材
黒部幹線665の鋼材


 結構は古い。黒く塗られた鋼材も古そう。鋼材には「K.S 8X8 SEITETSUSHO YAWATA ヤワタ」とかいてある。八幡製鉄所なんですね。重そうで頑丈そうなアングル材だ。昭和の初めからご苦労さま。苔がこびりついた鋼材に長い風雪の歴史が浮き出ている。


 665を出て安曇幹線へ向かう。前方にまたジャミラ。塔頂票には664の数字が。尾根伝いに歩いているつもりが道を誤ったようだ。

黒部幹線664
黒部幹線664


 道は間違ったがきれいなジャミラに感激。根本まで下りてじっくり鑑賞した。これも昭和2年原型だ。


 664から引き返すと右手奥に烏帽子が見える。おーっ! 安曇幹線309号ではないか。尾根の上で秩父側から小鹿野側へと送電線を引き渡している。
 道はたまには間違うものだ。思わぬ拾いものに気分はとても良い。

安曇幹線309
安曇幹線309


 こんどは間違いなく尾根をたどり309号の根本に。遠望したときは静かに佇んでいるように見えた309号だが、根本は急斜面。片継ぎ脚を長〜く延ばし、ダイナミックに立っていた。

安曇幹線309号 ダイナミックな片継ぎ脚
安曇幹線309号 ダイナミックな片継ぎ脚


 さて元の林道まで下りよう。尾根の上に巡視路標識が引き抜かれて放置してあった。この辺りを下るのだろうかと尾根沿いに入ると伐採地のひどい藪の中。にっちもさっちも行かなくなり仕方なしに登り返す。
 さっきは道を間違えていい目にあったが、そう幸運は続かないらしい。来た道を戻ろうかとしたら谷沿いにちゃんとした道を発見。快適に下る。ひどい藪で難渋した辺りのすぐ脇にこんないい道があるなんて!!


 310号は遠望したのでパス。310号まで4連の耐張碍子、309からは2連に変わっている。
 これで秩父盆地よさようならです。バイクで小鹿野方面へと進む。