リベンジ箱入り

大師線3?号

 羽田空港まで九州へ帰るYの見送りに来た。3連休の中日。新しく出来た第二ターミナルは人で溢れていた。乗降客や送迎の人より第二ターミナル見物の家族連れが多い。ちょうど昼食時、どの店も長蛇の列。屋上のデッキのフェンスも人で埋まっている。
 高いところに登れば鉄塔を探す。でも第二ターミナルは海に向いている。この向きでは送電鉄塔を探すのはちょっと難しい。東京湾をはさんで遥か荒川の方を探すと荒川河口の巨大鉄塔が望遠鏡にうっすら小さく見た。


 羽田空港多摩川の河口に位置する。帰りがけ多摩川の鉄塔探訪に行った。京急六郷土手駅に行き、駅から一番近くに見える鉄塔の方向へ多摩川を歩こうと決めた。駅のホームからすぐ下流に赤白鉄塔が見えた。お約束で川を下る。
 そう、川は遡るより下った方がしっくりくる。特に下流なら最後が河口という設定がよい。終点まで行き着けた達成感は格別だ。遡るのは上流、山の中の川だ。


 河原は家族連れや草野球などにぎやかだ。最初の鉄塔は六郷橋のすぐ下流にあった。3本の鉄塔が川粼側、川の中、東京側と送電線を渡している。川の中に立つ赤白鉄塔がとてもダンディーだ。とんがり帽子もコックさん帽もかぶっていない。細身のボディーの上部に3本の長さを変えた短めの腕木とII字吊り。シンプルで洒落ている。


 その時は「お!面白い」で済ませたこの鉄塔だが、帰宅後、Webで調べて驚いた、この鉄塔には空中地線がない。その代わり避雷針が立っているのだそうだ。観察不足だなぁ。もう一度行かなくては。


 東京側の鉄塔は灰色の引き下げ鉄塔。大師線2号と書いてある。ここから六郷変電所まで地下に潜っているらしい。「大師線」って有名だったような気もするが地下に行ったら手出しはできない。といって対岸へ渡るのはたいへんだ。鉄塔を後に下流へむかうことにする。


 これも失敗だった。数日後地図を買って鉄塔の位置を確認した。すると2号鉄塔のすぐそばに変電所のマークが。よく考えてみたら2号鉄塔ということは次の1号は変電所に違いない。何でそんなことに気がつかなかったのか。


 ということで最初の鉄塔はリベンジ箱へ入ることになったが、当日はそんなことには気がつきもせずに幸せに下流に向かった。
 (続く)