10 千住桜木

北千住線22号と23号(北千住変電所)

 街中の鉄塔を辿る楽しさは知らない街に出会うことにもある。荒川沿いのメジャーな街歩きスポットといえば千住だろう。千住の街外れ西新井橋に沿って北千住線が荒川を渡っている。
 この辺りの地名は「千住桜木」。美しい地名だ。墨堤通り沿いの元宿堰稲荷に桜木の名前の由来が書いてある。有名なワシントンのポトマック河畔の桜はこの地から贈られたものとか。この稲荷神社の裏手に北千住変電所がある。


 この千住にかつて「おばけ煙突」と呼ばれる煙突が立っていた。千住火力発電所の4本の煙突は見る角度によって3本2本1本に見えた。だから「おばけ煙突」だ。千住火力の煙突は下町のシンボル、いろいろなところから見えたと書かれている。残念なことに私は世田谷の田舎住まい。小学校の遠足の時だろうか、電車の中から見た記憶しかない。本数が変わると言われて車窓から一生懸命見たのだがあまりよく分からなかった。
 北千住変電所はこの千住火力発電所の跡地。寮や資材置き場、グラウンドなど東京電力の大きな敷地の中にある。ちなみに本宿堰稲荷には旧千住四本煙突守護社という別名があるらしい。


 北千住変電所に入っている送電線は北千住線の1系統だけだ。地下ケーブルもあるのだろうが、歴史ある千住火力発電所の跡地だと思うと少し寂しい気もする。
 北千住線は変電所から出て堤防の手前に22号、堤防を越え河原に21号、そこから川を越えて20号。どれもずんぐりとしたボディー、小さな腕木、頭はとても扁平と特色的な形をしている。形からはとてもレトロな感じがする。
 期待をして銘板を探すと22号は何と平成2年と書いてある。鉄骨の塗装もはげかけているし、土台のコンクリートも年代を感じさせる。平成2年製とは信じられない。何らかの改修が行われたのだろうがペンキぐらい塗り直さないのだろうか。


 この22号鉄塔の近く、墨堤通りに木造2階建てのコーヒー屋さんがある。ミルクホール「モカ」と書かれた電飾看板、入り口は白いのれんにコーヒーとある。さすが千住だ。うれしくなって入った。昔ながらの椅子とテーブル。味も正しく昔の濃厚な珈琲の味がした。



おばけ煙突については「あの頃」のセピア色の想い出(http://home3.highway.ne.jp/hasu/hayari0.htm)の中のおばけ煙突(http://sapporo.cool.ne.jp/hasu/obake/obake.htm)他多くのページがある。