鉄塔東京タワー?!

駒沢線61号

 子供がいると正月に親戚回りは欠かせない。他のことではない、目的はお年玉詣でである。先方に子供がいない場合はよいが子供がいればお年玉の交換会。子供の数と年齢で収支が決まる。


 今日は生まれ育った世田谷へ。ばあさんは居るが子供はまだ1歳。この歳ならお年玉は不要ということで今日は気楽だ。小田急世田谷代田駅で降りる。ここは富士山の眺めがとてもよい。今日も富士山が迎えてくれる。


 この代田の丘には送電線が1本通っている。送電線は「ひまわり公園」という今は跡形もない公園の横を若林のほうから登り、小田急の駅の上を越え、井の頭線の脇の変電所へ。ここまでは子供の頃の記憶にちゃんとある。その先の記憶は不思議にない。
 親父と散歩をしていて「送電線の下の土地は安いんだよ」と教えてくれた。こんなことは不思議に憶えている。


 『鉄塔武蔵野線』の主人公は送電線を辿ったが少年時代の私は辿らなかった。その代わり、東京にまだ高層の建物がない時代、どこでも遠くに見えていた東京タワー、見える以上は行けるはずと友達と二人で歩いて行ったのが私にとっての鉄塔だ。『鉄塔東京タワー』だ。


 小田急を越える鉄塔は環境美化鉄塔へ建て替えられていた。小田急の高架工事にともなって高さを稼ぐためだろう。でも小田急の手前は昔のままだ。懐かしい路地を辿った。
 この送電経路、駒沢線というのだそうだ。今日初めて銘板を確認した。

駒沢線62号、昭和1年12月、26メートル

昭和元年製なのか。戦後すぐには立っていたのは確かだが、昭和元年とは…。隣の61号はそんなに高くもないのに鉄塔の内側にちゃんとした階段が。これも珍しい。
 少年時代の東京タワーの代わりに老年に入りかけた今「鉄塔・駒沢線」そのうちきっとやるだろう。