線を交差する
二つの送電路が交わるところ―送電線の交差点はおもしろい。空中を立体交差で通過したり、交差のために鉄塔を建てたり…、不思議な鉄塔と出会う確立も大きいのだ。
ここでは送電路の交差点で見られる鉄塔たちの姿を紹介する。
「空中交差」「交差鉄塔」「階段鉄塔」「輪くぐり送電線」
そして交差もどきの「立ち寄り鉄塔」も説明する。
空中交差
二つの送電線の高さを変えて空中で送電路を交差させる。通常は電圧の高い路線が上、低い路線が下になるが、これが逆になるケースもある。主に建設年代の差が原因だろう。
交差では一方の路線の鉄塔を高くするか、他方の路線を低くすることになる。そのため、とても背の高い鉄塔や、逆に背の低いドナウ型など変わった鉄塔をしばしば見ることが出来る。上の北総線7号は135メートルの高塔だ。背の低い例は下に紹介する。
交差鉄塔
二つの送電路線の交差地点に立ち、交差する送電線を支持する。交差が斜めの場合は腕金のかたちが変形となる。鉄塔名は通常交差するどちらか一方の路線名になる。どちらの路線名になっているか興味深い点もある。
東京電力とJR送電線など異なった会社の路線を交差させる場合もある。
単純な交差ではなく、線を分岐するなど複雑な場合もある。そういった鉄塔は装柱がとても煩雑になる。
輪くぐり送電線
空中交差のごく特殊な例として「輪くぐり」のように送電線を交差させる例がある。東京西線と高幡線の交差では、6回線送電路である東京西線の最下段(府中線)と中段(由木線)の間を高幡線が通り抜けている。
通常なら東京西線の鉄塔を高くするか、交差する高幡線を低くするところだが、このケースでは東京西線の線下に交差鉄塔を建て、上段に高幡線、下段に府中線を支持している。
東京西線は275KVなので線下の建築制限がきびしい。そのため東京西線に併架されている府中線を下げるほうが、高幡線を下げるより容易だったのではと想像される。
立ち寄り鉄塔
複数の送電路一つの鉄塔でまとまり、再度離れていく鉄塔。一見鉄塔で送電路が交差しているように見えるが、実際は「 × 」ではなく「 >< 」型になっている。
このような送電路の配置は送電路の経路変更などによって生じることがある。調べてみると鉄塔の隠された歴史が見えたりする。地味だが実はお宝鉄塔なのだ。
この鉄塔は撚架や分岐も行われる超複雑鉄塔だ。それについては
http://d.hatena.ne.jp/sarumaruhideki/20041124
に詳しく紹介した。