計画停電とは 3 電気はためられない

 さて本題に入ります。「なぜ計画停電が必要なのか」の答えは「大規模停電を起こさないため」です。大規模停電がいったん発生すると復旧に数時間から数日かかることもあります。2003年の北米大停電では停電規模6180万キロワット、復旧には最長2日間を要してます。

 大規模停電をなくすために計画停電をするのは何故でしょうか。ちょっと複雑であまり知られていない世界の話なので順序だてて説明します。

  • 電気はためられない
  • 電気が不足したり過剰だったりするとどうなる
  • 停電のドミノ倒し――大停電
  • 「グループわけ」の意味
  • 「実施があったりなかったり」の意味


 説明の最初は「電気はためられない」です。


 電気はためられません。もちろん蓄電池など小さな電気をためる仕組みはすでにあるのですが、毎日我々が使用しているような大容量の電力は蓄積する方法がありません。
 超伝導を利用した蓄電池などの研究も行われてはいますが、現時点ではまだまだのようです。
 現在われわれが持っている唯一の電気の蓄積方法は「揚水式発電所」です。これは余剰電力を利用し、水を低いところに作ったダムから山の上のダムに上げておき、ピーク時には逆に上から下に落とすことで発電するという仕組みです。

 さて「電気がためられない」ということは、発電している電力と消費されている電力は常に同じということです。需要が増えれば発電量を増やし、需要が減れば発電量を減少させる。このオペレーションが常時行われているのです。

 日本では正午になると電力消費ががくんと落ち、午後1時になると一気に回復します。ですから、発電機も正午になると稼働を落とし、午後1時になると再稼働させます。
 この時に発電量の調整に利用されるのが火力発電と水力発電です。原子力発電は出力は大きいのですが、発電量の調整は難しいようです。
 発電量の調整が容易な水力と火力ですが、水力発電は数分で最大出力へ持って行けますが、火力発電は30分程度の時間が必要と聞いています。ですから、午後0時30分頃には各地の火力発電所のボイラの燃料を上げはじめ、数分前には水力発電所のコックを開ける。そんな操作がされているのですね。


★電気はためられないから、刻々変化する需要に応じてリアルタイムで発電量を調整している。