思い出の中川河畔

 小松川線の江戸川から中川までの区間、金町から八潮手前までを歩く。
 今日はとても寒い。電車で金町駅へ。北口から江戸川に向かって歩く。
 江戸川手前で葛西神社にお参りする。葛西神社は葛西33郷を束ねる神社。葛西という地域はたいへん広い地域を指すことばだ。小松川線は広い葛西の中を縦横に走る線路だ。お参りは当然だな。巫女さんが赤い袴で神社内にある小さな社を掃除していた。
 江戸川の河原に出ると、対岸に矢切の鉄塔群。小松川線は矢切から葛飾橋沿いに江戸川を渡ってくる。両端は赤白の大鉄塔だ。現在は外環道の工事中。外環道が完成するとここの風景も変わるだろう。

小松川線83号
小松川線83号
江戸川の右岸、三郷側鉄塔

 葛飾橋西詰めの83号から小松川線を西に向かって進む。小松川線は外環道(国道298号)の北をほぼなぞって進んでいく。
 少し薄日が差すこともあるが、曇りの寒い日だ。まずは82、81号と水元公園を横切り、その先で東京都葛飾区から埼玉県三郷市に入る。
 どこか風景がのんびりしてきた気がする。高い建物もない。小松川線は交通量の少ない幅広い道沿いに伸びていく。

小松川線79号
小松川線79号
小松川線78、77号
小松川線78、77号
小松川線76号
小松川線76号

 76号になると水路が流れ、田んぼも登場する。大場川を越えて74号。用水脇に立ち、道が鉄塔をよけてぐにゃっと曲がっている。そしてその先の75号で外環自動車道を南に越えて行く。
 ケーヨーデイツーがあったので手袋を買い換えた。冬の鉄塔回りは手袋が必須。1シーズンでたいてい指先に穴が空いてしまう。
 外環道を渡る歩道橋から、ここまでの小松川線がよく見えた。

小松川線 73号から老番方向
小松川線 73号から老番方向


 外環を渡ると大きく腕を広げたドラキュラが迎えてくれた。2回線を左右に優雅に引き下ろしている。下は寄巻変電所。余裕のある敷地にスーパークラッドと書かれた大きな箱が三つならんでいる。とてもすっきりしているが建屋はなく、これは露天変電所なのだ。いい感じだな。

小松川線71号と寄巻変電所
小松川線71号と寄巻変電所


 スタートが遅かったので日がずいぶん傾いてきた。あと70、69、68、67、66号、5本で中川だ。遠く目的の66号も見えてきた。
 小松川線70号は形の良い角度鉄塔。かつては回りは畑か水田か。現在は宅地にするため鉄塔の周囲が1メートルほど高く盛り土されている。だから結界は穴の底だ。
 よく根巻きが斜材までかかっている鉄塔(私は埋もれ基礎型と名付けている)があるが、こんな宅地化が原因でできあがるのかも知れない。

小松川線70号
小松川線70号


 60番台に突入すると、田畑は見えなくなり、住宅が続くようになる。67号は背が低く、川越のテンションを支える力持ち鉄塔。その先、街道を越えたところに、今年の年賀状に出ていただいた66号が待っていた。(⇒2012/1/1
 66号は中川左岸の背の高い鉄塔。畑の真ん中に広い結界が広がる。根本まで来る道は少々遠回りをするのだが、結界にも入れるいいところだ。
 たしかに腕金にくらべ下部が大きすぎてバランスは悪い。でも何のてらいもなく、単純に作った鉄塔。そのまっすぐさがとても好感を持てる。いいですよ。

小松川線66号
小松川線66号


 中川に出て京北変電所方面の鉄塔林を眺める。最初にたどった鉄塔がこの小松川線。江戸川区船堀から何回か目にこの地点にまでようやくやって来た。その時と同じ風景、同じ夕暮れ。すぐ下流に新しい橋がかかったのだが、鉄塔が連なる風景は変わらない。
 おや対岸で焚き火をしている。あの時も焚き火を見た。そうそう、ここの砂利道を走って原チャの限界を感じ、自動二輪の免許を取ることにしたんだっけ。
 いろいろ思い出すが、なんと言っても自然堤防のこんな美しい風景が残っていることに感激したんだ。それも鉄塔に引き込まれた要因の一つかも知れない。

中川対岸 小松川線65号から若番方向
中川対岸 小松川線65号から若番方向


 さてどう帰るか。バスで金町? 松戸? そうか新しい橋ができ、筑波エキスプレスが通ったんだ。八潮駅はすぐそこじゃないか。八潮まで薄暗くなった道を30分ほどかけて歩くことにする。
 中川の新しい橋の上に出ると、亀戸線52号の向こうに夕日が沈んでいった。