尾瀬の只見幹線(群馬側 2日目)

尾瀬沼

 尾瀬と電気はかかわりが深い。水力が主力だった時期、只見川水源の豊かな水資源は電力会社にとっては魅力たっぷりだった。只見川の水利権を巡っては何度も紛争が起こる。尾瀬にダムを作る計画もあったのだ。
 今日は最初に尾瀬沼を一周する。ハイキングのついでに東電の取水口を見る。東電はこの尾瀬と深いつながりがある。その具体的な姿がこの尾瀬沼の取水口だ。山小屋風だがテプコマークもあり取水口と分かる。残念ながら取水口側は藪に阻まれて見えない。ここから群馬側に水が取水されている。

写真:「東電尾瀬沼取水口」へリンク
東電尾瀬沼取水口
写真:「取水口管理小屋」へリンク
取水口管理小屋


 今日は天気が今ひとつ。撤収していたら雨になった。雨の湿原もなかなか良い。

調整池

 三平峠から山を下りると下界は晴れていた。大清水からバイクで鎌田まで出た。地図で見つけておいた裏道から鎌田発電所調整池へ登る。調整池は発電所裏の崖上、池の周囲に立つ鉄塔は鎌田線の2号と3号鉄塔だ。

写真:「鎌田発電所調整池と鎌田線2号」へリンク
鎌田発電所調整池と鎌田線2号

白根温泉

 まだ4時だ。まっすぐ沼田へ出るのも芸がないかなと、金精峠を越えて日光にでることにした。
 バイクを飛ばしていると白根温泉の手前で発電所が出現した。山の上に只見幹線ともうひとつの送電路の鉄塔。道際にも大きな門型鉄塔が出迎えてくれた。これは嬉しい出会いじゃないか。

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白根発電所


 白根発電所はいかにも水路式発電所モルタル造りで排気口と思われる出っ張りがいい感じだ。


 山の上では只見幹線ともうひとつの送電路(後で上毛幹線ということが分かった)が交差している。
 只見幹線は谷を渡って抜けていく。黄色いコックさん帽子の168号と167号だ。尾瀬電発峠から40本ほどでここまで来るわけだ。
 もうひとつの送電路(上毛幹線)は道際の門型鉄塔へ下り、再び山の上へと登る。帽子のない四角い頭のジャミラ。17号と塔頂標に書かれている。頂上を赤く塗っているのは交差の注意喚起だろう。17号から谷底の変電所の門型鉄塔を経由して対岸の18号へと進んでいる。

写真:「只見幹線167 上毛幹線17」へリンク
只見幹線167 上毛幹線17


 谷底に立つ鉄塔で発電所からの電気が合流するわけだが、この門型鉄塔―白根線1号が秀逸だ。3本の鉄塔を建てて横桟を渡し、2回線6本を水平配列で支持している。3本脚の門型鉄塔と分類できるが、むしろ「夫婦鉄塔」の3本脚版というべきか。3本目は子供それとも間男なのか? なかなかユニークです。

写真:「	白根線1号」へリンク
白根線1号

一ノ瀬発電所と上毛線と丸沼堰堤

 白根温泉を過ぎ、丸沼に向かう道の途中に「一ノ瀬発電所」という案内看板があった。でももう暗いのでパスした。その直後道沿いに鉄塔が。近寄ると上毛幹線3号の看板がある。
 オー! 上毛幹線だ。すげぇ! 鉄塔も昭和12年と古い。全体が見えないのでどんな鉄塔なのか帽子の形などは分からない。3号ということはすぐ先に1号? そこは一ノ瀬発電所なのかな。

写真:「上毛幹線3号」へリンク
上毛幹線3号


 魅力的だが時間を取らずに先を急ぐ。もう暗くなっている。この先に有名な丸沼堰堤があるはずなのだ。ちらっとでも寄りたいのだ。


 丸沼堰堤(丸沼ダム)はバットレスダムという格子状の柱と梁を持つダム。とても珍しいらしい。現役だが重要文化財に指定されている土木遺産。駐車場から天端の横まで行ったが、よく見えなかった。時間があればダムの下流からも見学できると案内があった。

写真:「丸沼堰堤」へリンク
丸沼堰堤


 ここには丸沼発電所もあり、そこから送電路も延びているようだ。やはり、もう一度来るしかなさそうだ。上毛幹線、一ノ瀬発電所、丸沼堰堤、丸沼発電所。たっぷり1日楽しめるだろう。

 寄り道は終わりにして金精峠を越えて日光へ。湯の湖に下りる途中で男体山が見事な姿を見せてくれた。