尾瀬片品

スズラン柱

 先週に引き続き尾瀬の入口、片品村へやってきた。先週のハイキングで戸倉の手前の送電線と発電所がとても気になった。車窓からちらっとスズラン柱が見えたのだよ。
 最初の訪問地は鎌田から戸倉方面に入りすぐの鎌田発電所。道の際に黄色いとんがり帽子を2つ付けた鉄構が立っている。
 発電所の導水管は太い管と細い管が1本ずつ。後ろの山の調整池から下りている。建物は前面に大きな窓があって発電所というより、大きな公民館といった印象。154KVの無人発電所だ。

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鎌田発電所
写真:「鎌田線1号鉄構」へリンク
鎌田線1号鉄構


 発電所からは鎌田線と越本線が延びている。鎌田線は奥の山の上に送電線を上げている。需要地へと結ぶ線だろう。越本線は道を隔てて立ち、1本だけですぐ横の片品変電所へと送電線を下ろしている。こちらは配電変電所と思われる。


 そしてもう1ルート送電ルートがある。片品川沿いに尾瀬の方向からやってくる1回線の戸倉線だ。電圧は33KV。奥の発電所からやってくる送電路に違いない。33KVとは東京電力では珍しい電圧だ。
 戸倉発電所周辺の鉄塔は鳥居型かスズラン柱という構成。これが今回のお目当てなのだ。
 発電所付近では鳥居型もスズラン柱も木柱で、鹿の害を防ぐためか一面に網で覆ってある。

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戸倉線 84-1号 変電所横に立つ引き留めの鳥居型木柱。下の方は木柱を3本束ねている。鉄塔札には「昭 63.10」と書いてあるが、小さなプレートがもう一枚貼ってあり「建替 昭63.11」とある。1ヶ月で建替とはいったい何だろう。
写真:「戸倉線84号」へリンク
戸倉線84号 スズラン柱。緑色の網で覆われて後ろの森の中に溶け込んでいる。
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戸倉線82号 ここで川を越えるためか、鉄製の鳥居型鉄塔だ。主柱が50ミリ角ととても細い鋼材を使用。支線4本で補強されている。

鉄塔ジオラマ

 バイクで大清水へ向かう。両側は東京電力の林。手入れの行き届いた林が見事だ。
 この国道401号は古くからの街道「沼田街道」で、群馬県沼田市福島県会津若松市を結ぶ。大清水から三平峠、尾瀬沼、沼山峠、赤法華、檜枝岐川七入の区間は歩道となっていて、いわゆる「点線国道」だ。

 大清水で休憩所に寄ってみた。いろいろな写真とともに尾瀬ジオラマが展示してあり、何と只見幹線も再現されている(残念ながら鉄塔の位置は適当だ)。只見幹線のルートをじっくり観察する。うーん、歩いてみたいなぁ。

写真:「只見幹線 尾瀬電発峠群馬側」へリンク
只見幹線 尾瀬電発峠群馬側
写真:「只見幹線 尾瀬電発峠福島側」へリンク
只見幹線 尾瀬電発峠福島側

電発吊り橋

 先週ハイキングで通った林道から1本南、物見山に行く林道(根羽沢沿いの林道)をたどってみる。只見幹線を横切る辺りで道が川に向かって付いている。入り込んでみた。
 道は河原には下りずに吊り橋へ。川は狭くなっており、流れが急だ。これは電発の巡視道だろうから、巡視路用の吊り橋なのだろう。何と立派な巡視路だ。
 見上げると谷の南岸に142号が頭を出していた。

写真:「電発吊り橋」へリンク
電発吊り橋
写真:「只見幹線142」へリンク
只見幹線142

 林道まで戻り、小さな沢の横で飯にする。林に囲まれた静かな林道もなかなかいい。横には電発の巡視路標識。何とも小さい。中電のものにも似ている大きさだが、黄色く塗られているだけましか。どちらにしても知らなければ見落とす標識だ。

写真:「巡視路標識」へリンク
巡視路標識

戸倉発電所

 大清水に戻り戸倉発電所の沈砂池などを見学した後、バイクで戸倉発電所に向かう。谷底の小さな発電所だ。
 発電所のそばに、この下の栓ノ滝発電所用の堰堤があるのだが、これはカギが掛かって入れなかった。
 堰堤に向かう階段は細長い建物になっている。冬はとても雪深いところ。通路を確保するためにこんな細長い建物が必要なのだろう。

写真:「戸倉発電所」へリンク
戸倉発電所
写真:「戸倉線1号と栓ノ滝発電所用の取水堰堤」へリンク
戸倉線1号と栓ノ滝発電所用の取水堰堤

夕暮れのスズラン柱

 戸倉まで下り、戸倉大橋の付近の発電所(栓ノ滝発電所)を見て鎌田に戻る。鎌田にでる手前、片品川右岸のスズラン柱が夕暮れに美しい姿を見せていた。
 今日はスズラン柱のおかげで戸倉線の1号から最終鉄構までたどる旅になった。スズラン柱に感謝。

写真:「戸倉線78号〜老番」へリンク
戸倉線78号〜老番