山中の静かな交差 そして 新秩父開閉所へ

 安曇幹線へ行く。本当は赤平川の先の山に登る予定だったが、出かけるのが遅くなった。予定を変更して両神周辺で写真を撮ることにした。広く開けたとてもいい山里なのだ。

贄川宿

 両神の里には彩甲斐街道から贄川宿経由で入ることにした。
 贄川宿三峯神社参拝の宿場として栄えた宿場ということだ。規模は小さいが昔を伝える家並みが素敵だ。


 贄川宿の外れでまずは三峰線。贄川から両神に抜ける街道沿い、道脇に三峰線28号が立っていた。三峰線と川又線の1回線ずつで2回線鉄塔だ。角度鉄塔になっているのだが、内側が四角い腕金という変則な鉄塔。谷の下へ送電線を渡している。


 三峯線の向かいの山には秩父から両神へと渡る新秩父線が白く輝いている。


秩父線82号

展望東屋

 両神へ着き道の駅の周辺を歩いていたら展望東屋という案内板があった。結構な急登を5分くらい登り東屋に到着。秩父方面へ山に入っていく安曇幹線の296、297号がよく見える。新秩父線の眺めも良い。


安曇幹線296、297号

秩父線87、88、89号

山の中の静かな交差

 前回入るのをあきらめた安曇幹線と黒部幹線の交差地点に入ることにした。
 表側からの巡視路を探したが見つからない。しかたがないので裏の川筋から入る。
 途中電柱を2本括り付けた立派な橋があった。でも腐っているかも知れない。少しやばそうなので水がちょろちょろ流れる沢を渡る。
 そこから沢沿いにかすかな道があったが、やがてそれもなくなり、直接沢を詰めると稜線の黒部幹線の鉄塔の根元に出た。黒部幹線642号だ。


 24メートルの低い鉄塔。碍子10個のⅠ吊り。黒ピカ塗装で片継ぎ脚。黒部幹線らしい質実剛健な鉄塔だ。
 すぐ脇に安曇幹線293号が立っている。高さは54メートル。少しだけ背が高い。ここで安曇幹線と黒部幹線は交差している。


安曇幹線293号と黒部幹線642号

赤平川の谷

 交差した黒部幹線と安曇幹線をたどると赤平川の谷に出る。新秩父開閉所、そして志賀坂峠まで続く谷だ。


 黒部幹線はここで高い崖から谷底に降り、そして対岸の山の上にまた登る。谷底に立つのは640号だ。鉄骨も太い。642号鉄塔は127ミリ角だったがこれは200ミリ角。頑丈に作られている。
 目の前の崖の上の639号に最後の日の光が当たりとてもきれいだ。


黒部幹線640号

黒部幹線639号

夕闇の新秩父開閉所

 国道299を新秩父開閉所へ向かって巡視路標識を探しながらとことこバイクを走らせる。奥秩父線への巡視路標識は297、299号と見かけるが、安曇幹線への巡視路標識が見当たらない。奥秩父線へ行けばその先で安曇幹線へも行けそうな気もするが。


 ずいぶん暗くなってから新秩父開閉所に出る。残念ながら見て回るには遅くなりすぎた。それにしても迫力がある。鉄塔が大きい。さすがは50万ボルトだ。


秩父開閉所の新岡部線1号

 国道側に山から下りてくるのは新岡部線と新榛名線のようだ。そして国道の反対側の川上からやってくる鉄塔が安曇幹線らしい。そして反対側の山を越えているのが新秩父線だろう。


秩父開閉所にやってくる安曇幹線1・2号線


 西の空にあかね色の雲が少し残る夕暮れ。開閉所の先の山の上に烏帽子鉄塔が見える。あれは安曇幹線の何号線なのだろうか。


秩父開閉所、安曇幹線1号線、安曇幹線2号線


 上を見上げると6導体の送電線があかね色の雲にまっすぐな線を描いていた。
 ついに最初の大きな目的地に到着だ。安曇幹線はこの後は塩尻まで何の設備もないはず。その意味では唯一の区切り点でもある。


 国道とはいえほとんど通行はない。巨大な鉄構と鉄塔に囲まれ、暗がりの中で帰り仕度をはじめた。


新榛名線の送電線