品格

房総線6号

 「S41.2 68m」。房総線が開通した年月が記された6号。


 灰色に塗られたアングル鉄塔。高さは70mほど。塔長の半分以上を使って4対の腕金を延ばす。
 大きな腕金は几帳面に同じ長さ、同じ間隔を繰り返す。
 主柱は塔頂から、たった1回、自然な角度で屈曲し、長い腕金と微妙にバランスをとる。


 力任せな強引さはない、居丈高な表情もない、どうどうと静かに6号は立っている。
 50万ボルト送電の栄誉を担った自信と誇り。端正なその姿には品格さえ感じられた。(続く