湿地帯

房総線8号〜

 ここは印旛沼までつづく湿地帯の最奥。広大な北総台地の北辺に穿たれた広く細長い低湿地だ。沼地はゆるやかに曲がりくねり、やがて利根川へと続くのだろう。
 振り返れば千葉ニュータウンの広い幹線をスピードをあげて車が行き交う。
 顔を戻せば私の前には一面の田圃。人家はぽつりぽつり。ときおり思い出したように車が通る。


 房総線は田圃の中を耐張・V吊りをとりまぜて進んでいく。6号は耐張型の角度鉄塔、7号8号は上2段V吊り下1段耐張の変則鉄塔(腕金はV吊り仕様だから下段の線の高さを稼ぐために後から変更したのだろう)。9号は耐張型で10号は3段ともV吊りだ。


 みな昭和41年2月の看板を背負った原型鉄塔。首をすくめて立つV吊り鉄塔もまた美しい。

水平材で覆われた結界

 ほ地整備事業の碑があった。「…この一帯は排水が悪く…云々」。
 読んで思いあたった。この田圃に立つ鉄塔には特徴がある。5号と6号はコンクリートの高い土台を作りその上に立っている。7、8、9号は土台のすぐ上から水平材を張り渡し、下辺の補強に余念がない。
 田圃の中を進む鉄塔、愛でるぶんには美しいが建てる方々にはいろいろ苦労があるのだろう。


 10号で原型とお別れ。正面の丘、住宅地に向って高い赤白鉄塔が登場する。