K兄弟に鉄塔写真を見せた話
(5月20日の日記の続き)
写真を撮っていたら厳ついお兄さんがチェックをかけた。「鉄塔の写真を撮っているんですよ」というと見せろという。デジカメだからすぐ見せてあげた。
「あの辺りの家を撮るな」という。鉄塔と逆の方角を指差す。「普通、家を撮るのは構わないはずですが」というと、「人の顔とか」と言い出す。「人の顔は一応許諾をとりますけどねぇ」。「とにかくあの辺りを撮るな」と言って帰っていった。
いったい何なんだ。やくざかなぁ。なお粘って撮っていると今度はガードマンが来た。「家を撮るのは問題ないはずですが」というと、「あなたの撮っているところは私有地だ、勝手に入っていいのか」と来た。
たしかに私は広い駐車場で写真を撮っていた。でも柵や門で仕切られているわけでもない。「普通はこの程度のことは大目に見てもらえますけど」というと駄目だという。そこで「ここはあなたの管理しているところなんですか?」と聞くと「違うけどだめだ」と言う。
この厳重なガードとても怪しい。鉄塔を撮っている私もとても怪しい。怪しい同士の押し問答。
「いったい何があるんですか」と聞くが教えてくれない。どうしても排除したがっている。写真もひとしきり撮ったから面倒なのでとりあえずは退散した。
最初は来た奴が暴力の匂いをぷんぷんさせていたのでその筋かなと思った。まてよ新興宗教の類かなとも思った。でもどうも違う、その類ならガードマンなんか雇わんだろ。
隣に店がある。その店の駐車場から写真を撮るか。店に入って許可をもらった。普段はこんなことしないが、またガードマンが登場するといけない。でも本当は元の駐車場で撮りたいのだが…。
ついでに「何かあの辺にあるんですか。写真撮ってたら怒られたんですけど」と聞くと、店長風の青年が「ああ」「ええ」とはぐらかす。そりゃお得意さんのことしゃべらへんやろな。
店を出ると買い物客のひとりが近づいてきて教えてくれた。今をときめかけているK兄弟がいるらしい。へぇーである。関西から東京へ本拠を移したらしい。おっとさっきの暴力ムンムンのお兄ちゃん、あれ確かにK兄弟と同じ顔してた。本人かな?兄貴のほうだった気がするが。
するってぇと俺はK兄弟に鉄塔写真を見せたのか。話は不愉快だがこりゃ面白い。
鉄塔との別れ際にもう一度全景を撮った。いけない! 撮るなといわれた方向が写ってしまった。ありゃりゃ歩道から撮ると家が写っちゃう!!(^o^)
まあマスコミに追いかけ回されて過敏になっているのだろう。でもあんなド派手な演出するんだから仕方ない。
神経がきりきりしたら鉄塔を眺めるとおおらかな気分になれるのだが…。
見なよ堀切線の1号と2号、そして隅田線の13号。5月の陽光を浴びてとても気持ちよさそうじゃないか。
(続く)
見事な桜の持ち主がそれを撮ったカメラマンを訴えたという事件があった。桜の所有権を元に撮影を許可しないという話。この場合も通りからすぐ見える桜であったので訴えは却下されたと記憶している。
似たような貧相な真似を大手の企業などがやっている。権利をどこまでも拡張して振り回す。困った風潮だ。
肖像権もしかりで繁華街の写真などで群衆が写ってしまうのは問題なし。ただし本人が拒否の意志を表示しているのに撮るのはだめ。
個人が特定できないよう点景にするなどの配慮をすればまず問題は起こらないだろう。
商売で写真を扱うと面倒を避けるためボカしたり、モザイクを入れたりと過剰な防衛をしてしまう。そのため権利が不当に膨らんでいるような錯覚が起こる。そして過剰な権利が定着してしまう。本当に困ったことだ。