中富線 早回り1 意を決してスタート

中富線106号

 中富線は由緒ある送電路なのだ。JammitさんのHPによればその起源は八ッ沢線に遡る。
 蒸気機関による発電が水力へと移行する明治後期。最初の長距離送電路は東京電燈の桂川線で明治40年。八ッ沢線はその5年後、同じ桂川の八ッ沢発電所から新宿は淀橋変電所まで送電したという。ルートは現在の旭が丘線・中富線・和田堀線・淀橋線に相当するらしい。(http://transm.web.infoseek.co.jp/soudenn204.html

 千歳変電所へ出入りする送電路、和田堀線、北多摩線、川世線はたどった。残ったのは中富線。
 変電所西側に立つ中富線の最終鉄塔。大きな鉄構を従え、千歳変電所の鉄塔群の中で群を抜いて立派。鉄塔の番号は106、番号だけなら北多摩線と大差ないがこれは長いぞと勘がささやく。15万ボルト2導体、どうみても手ごわい風貌なのである。
 千歳変電所の和田掘線は158番で始まる。それは中富線と和田堀線は本来おなじ線だから通し番号なんだと思っていた。でも現在の中富線最終鉄塔は106番、何と52番飛ばしになっている。中富線は最近、全面的に建替えられたと聞く。建替え前は最終が157号だったのかも知れない。すると157本分の長さがあるのか?


中富線105号〜 意を決して中富線に進む。何回かに分けることも考えたが家から通うにはちょっと遠い。今回は鉄塔の足元に行くことはあきらめ、送電線に沿って行けるところまで行ってみよう。写真もあまり撮らないこと。バイクのエンジンをかけたのはちょうど昼、今日中に最終鉄塔まで行けるだろうか。


 根元には行かないと出発してみたものの鉄塔が私を呼んでいる。思わず寄ってしまう。灰色の大きなアングル鉄塔でV吊りが多いようだ。頂上のコックさんが偏平につぶされていて面白い。
 中富線の上段は2導体の15万ボルト、下段に北歳線6万ボルトを併架して4回線で進む。北歳線?…「歳」は「千歳」とすると「北」は何だろう。
 鉄塔横の庭では近所の人だろうか大勢が集まってバーベキューを楽しんでいた。


中富線95号〜 住宅と農地が混在する。真新しい建売住宅。隣は植木の畑。遠くに引き下ろ鉄塔が見える。引き下ろし鉄塔は消防大学校の中。どうやら地中線を引き下ろしているようだ。
 構内には入れそうもないのでぐるっと回る。丘を下るとまた中富線と合流。
 市民農園の上空を越えて丘の上へ。おや別の送電線がくぐっている。これはJR送電線だな。特色ある鉄塔ですぐ分かる。「JR武蔵境〜新鶴見線 15万4千ボルト」。15万4千ボルト。JRの幹線に違いない。幹線に違いないがあいかわらずJRの鉄塔は華奢な感じだ。でも碍子は10個以上連ねている。


 すぐに調布変電所。隣に立つ中富線89号は角度鉄塔でおまけに引き下ろし鉄塔。なかなか仕事熱心な鉄塔だ。灰色の鋼管製でなかなか立派。下段の北歳線はここまで、ここから先は久我山線に変わるらしい。

中富線89号

続く