街の不良鉄塔

水戸線71号

4月15日の日記続き続き続きの続き)
 山道をこれ以上辿るのはあきらめ、少し先を確認しよう。それに夕方というのにまだ昼飯を食べていない。桜の公園からここまで食堂どころか食料品店すらなかったのだ。
 自動車道に戻り送電線と同じ方向に進む。国道に出るとファミレスがあった。おまけに目の前に鉄塔がある。水戸線はここで山から街中へと下りてきていた。
 やれやれ腹減った。とにかくまず腹ごしらえをすることにする。


 ファミレスを出て目の前ののっぽ鉄塔に会いに行った。
水戸線71号 おやまあ変な鉄塔だこと。腕金が9本付いているから、最初は3回線なのかと思った。そうではない。2回線をここでは全部片側に寄せているのだ。よくみると架空地線を支える三角帽子も斜にかぶっている。次の鉄塔は普通の左右振り分けに戻るからこの1本だけが不均衡な姿で立っている。
 何とも落ち着かない。何か深い事情があるのだろうか。山や畑の中を行く素朴なジャミラたちを追ってきた。だから環境の変化がとても心配だ。街の不良鉄塔――背が高くスマートになった。でもちょっとひねくれてしまったのね。


水戸線75号 鉄塔沿いに少しやってきた方向に戻ってみた。引き下ろしの異型鉄塔は74号かな。岩瀬変電所と書いてある。その先の75号が山から降りてきた最後の鉄塔。これは元どおりの素朴なジャミラだ。
 隣は高校。部活の帰り道だろうか高校生が坂を下りてくる。


 さあもう夕方。今日の旅はこの街で終わり。国道を少し進んでから左折してお別れだ。
 岩瀬の街の鉄塔番号は70番台、水戸線はまだまだ続く。国道沿いに背が高い鉄塔が立ち並ぶ。どこへ向かうのか終点には何が待っているのか。オレンジ色の輝くもやに鉄塔たちが消えていく。


4月15日の日記 終り)