空に突き出す鉛筆2本

戸越線1号

 大田区に用事があり出かける。用が済んでから多摩川に寄った。
 時間もないので戸越線だけ無沙汰のご挨拶をしていこう。田園調布から二子多摩川の中間あたり戸越線が多摩川を渡っている。


 戸越線は多摩川を越える区間だけ架空送電になる。東京側が戸越線2号、川崎側が1号、鉄塔はたった2本だ。
 2本だけの送電鉄塔だが形がユニーク。1月11日の日記で紹介した南大田線と同じ「夫婦鉄塔」。並んで立つ2本の四角鉄塔の上部を横桟でつなぐ。


 戸越線1号も戸越線2号も万年塀に囲まれた敷地に立っている。門には浮かし彫りの「東京電力」という表札がかかる。かなり年代物だ。そういえば南大田線も万年塀に囲まれていた。


 鉄塔観察界には「似た鉄塔は集まる」という格言がある。変わった形の鉄塔を発見したら近くを探せ、かならず同じ形が見つかる、という意味だ。この夫婦鉄塔、南大田線と同じ多摩川の川越え鉄塔。やはりこの格言は当たっている。(少し距離が離れ過ぎだが)


 形はよく似ているが印象はずいぶん違う。南大田線はきれいな赤白、こちらは地味な色に塗られている。色合いのせいか細身で引き締まった感じがする。
 にぶ色の空にすくっと突き出した鉛筆2本。冬枯れの河原によく似合っていた。