奥工氷川線の逆落とし

奥工氷川線1〜3号

11月20日続きの続き)

 旧道を戻ると昼。道の際で食事を作って食べる。前回行き着かなかった日原線の4号5号へも登る予定だったが時間がない。これはまた次の機会にしよう。

 氷川へ戻り西日に輝く鉄塔を撮る。日原線は海沢の発電所から奥多摩駅を見下ろす山の上に一気に登る。そして本線は日原へ向かうが、1本線を分岐させ山の上から氷川の街の変電所へ下りてくる。奥工氷川線1号
 分岐した路線には鉄塔が3本。地形図で見ると分岐鉄塔から一番下の鉄塔まで標高差は250メートルほどだろうか。遠くから眺めるとほとんど垂直に送電線が降ろされているように見える。


 対岸の静かな道路で写真を撮っていると道の下の茂みで何かが飛び跳ねる音。驚いて林の中を覗くとカモシカがすぐ近くにいた。こんな人里でカモシカに遇うとは驚いた。紅葉と鹿、花札のような写真が撮れた。ラッキー。


 夕暮れも迫る。最後に氷川の変電所を見ておきたい。駅の裏側の集落をうろつく。変電所へはなかなかたどりつかない。最後の鉄塔の真下までようやく着く。しかし奥多摩工業のゲートがあり入れない。塔頂票には3と書かれている。路線の名前はなんと言うのだろう。奥工氷川線1号


 工場と工場に挟まれて細い道が延びている。これは公道のようだ。奥へ入る。工場が切れると山道に。道はよく踏まれ荷物運搬用の簡易モノレールも延びている。これはちょっと期待できるかも。
 分かれ道。ついに巡視路標識を発見。

日原線No.7へ至る。奥工氷川線No.1へ至る。

 分岐した線は奥工氷川線って名前なのか。道は小さな谷沿いに登っていく。道はとても細くなるが鉄製の仮橋もある。滝があり小さな流れを渡ると道のど真ん中に山仕事用の作業小屋があった。
 時計を見ると4時15分前。まだ少し時間はあるがここから急斜面になっていることもあり戻ることにする。あとどのくらいで鉄塔に着くのだろうか。次に来たときの楽しみにしよう。


 もう日暮れ。今回で奥多摩通いはひとまず終わり。10月のはじめから6回。泊りがけが3日あるから都合9日間通った。何回も通った割には積み残しが結構ある。でも満足している。
 記念に温泉にでもつかって帰りたい。奥多摩駅そばには「もえぎの湯」がある。でもいつだって混んでいるお風呂だ。紅葉シーズンの今日はまず無理だろう。思い切って山梨県丹波山村まで「のめこい湯」に入りに行く。多摩川の最上流の集落だ。片道20キロ弱。東京方面はのろのろ運転だが甲府に向かう車はほとんどいない。
 奥多摩湖の湖畔を「のめこい湯」にむかってスロットルを回す。燃料は満タン、エンジンは快調。真っ暗な頭上を山梨県という看板が過ぎていった。指先が冷たい。初雪の便りもまもなく届くだろう。


(「奥多摩の鉄塔たち」 ひとまず終り)