古い日原道

日原線15号


 朝。寝過ごしてしまった。もう明るい。あせって外へ出るとテントの周りは真っ白。霜だ。冬が来た。
 朝飯は抜き。暖かい紅茶だけで出発。昨日、谷底から見た鉄塔の足元へ向かう。


 現在の日原街道の対岸に一本の道が残っている。地元の人に道の様子を確認した。話によるとかつての日原街道。日原線14号に続く痩せ尾根
 日原トンネル手前の記念碑によればトンネル開通は昭和55年。旧道はずいぶん前に役割を終えた道だ。
 道はつり橋で日原川を渡るように地図には書かれている。でも橋の先は石灰岩の採掘場のど真ん中。昨日双眼鏡で確認したら、つり橋はもう落ちているようだった。


 小菅の集落へ続く道から旧道へ入る。入り口にチェーンが張られている。廃道なのだろう。それでもさすがかつての街道、舗装こそされていないが車1台は通れる幅。
 周囲の木々は黄色に染まる。誰も来ない素晴らしい紅葉道。絨毯のように枯れ葉が積もっている。


日原線15号 巡視路標識「日原線No.14号に至る」。とても痩せた小さな尾根が急激に下っている。木につかまりながら下りてみる。固定ザイルがつけられた岩の上に出る。下に降りるとまたまた急な落ち込み。ちょっとめげて14号はパスすることにした。


 鉄塔に出れない私を慰めるように、送電線だけは私のすぐ横の空を一緒についてくる。
 少し先でライフルをもった猟師さんに出会った。害獣駆除でニホン鹿を打つのだそうだ。犬を1匹連れていた。小さな犬だが急斜面を驚くほどの勢いで走る抜ける。


 猟師さんと別れ日原線15号へ。14号と違い広い尾根で気持ちが良い。塗装の記録が書かれていた。平成17年8月。塗り立てだ。


日原線16号 次の16号は道のすぐ横。土留めが何重にも作られた谷側の急斜面に立っていた。対岸の山の紅葉がきれいだ。


続く