東京最奥の鉄塔

JR古里線34号


 朝早く出る。睡眠は2、3時間しか取れなかったが今日はテント泊まり。夜はじっくり眠れるだろう。
 いつもどおり川井で停車。写真を撮る。赤や黄色の衣装でめかし込んだJR古里線34号を朝日が照らしている。河原まで日が当たるのを待って写真を撮る。暖かいコーヒーが飲みたいけど水しかない。そろそろ魔法瓶が必要な季節だ。



日原線14号 日原街道へ向かう。日原川に入ると植林も少なく山肌は紅葉で染まっている。


 谷が深くなる。左岸をやってきた送電線は谷を渡り右岸へ。街道は逆に右岸から左岸へと渡る。谷は急峻に道もとても狭くなる。谷に向かって張り出し、流れを曲げる尾根。その上に鉄塔が立つ。

日原線16号 川苔谷の出合いでバイクを置き、歩きながら鉄塔を見る。最初は14号、狭い尾根の上。次の少し太い尾根に15号。次の16号は少し高度を下げ尾根の中腹へ立っている。頂上に立つ鉄塔も良いが、中腹に埋まるように立つ鉄塔の奥ゆかしさにも魅かれる。


日原線15号 鉄塔の立つ尾根の対岸がかなり上まで伐採されている。見通しが良さそうだ。伐採横の小さな沢沿いに登ってみる。沢の水が切れたあたりで鉄塔を振り返る。植林の黒い山肌に筋のように明るい広葉樹。逆光に葉が黄や赤に輝く。15号鉄塔は紅葉のお風呂に肩までつかって気持ち良さそう。



日原線17号
 街道まで戻り進むと木々に覆われた柔らかい山肌が突然切れ、石灰岩の採掘場が目の前に現れる。むき出した岩肌に向かって17号が屹立している。荒々しく巨大な岩に、ひるむことなく小さな鉄塔は立つ。思わず声援を送りたくなる。


 送電線はここで川を越え最終の18号へ。小さな18号の足元には変電施設が見える。これもとても小規模。
 近づくとそこは鉱山敷地の中。立ち入り禁止。足元へ近寄れないのは残念だが、ここが東京最奥の鉄塔と変電所。鉄塔も私もここが旅の終着地だ。
日原線18号(最終鉄塔)


 最終鉄塔の横からトンネルを抜け日原の集落へ。ここは送電線のない世界。遅い昼飯をとる。まだ2時というのに谷の向かいに夕日が沈みそうだ。谷間の集落の夕日は余りに早く、その分とても暖かい。


 今日は人里で野宿をしてみよう。多摩川本流の橋の下で寝ようかと思っていたが橋の下が狭かった。その先の公園で寝ることにする。えっへん!ホームレスだぜ!!
 山の中だと野生の動物が心配だが、人里だと親父狩りが怖い。動物より人間のほうが絶対に危険だ。警察と悪ガキがこないことを祈る。


(続く)