夕暮れの日原


 時計を見るともう3時過ぎ。もう少しで小さなピークがあり、そこに2本の鉄塔が、そしてその先にもう1本鉄塔が待っているはずだ。日原線の4、5、6号だろう。多分4号まで行っても帰ってこれそうだ。でも3時半には里へ戻ると決めておいた。残念だがまた今度にしよう。


 帰りは様子が分かっている分苦労せずに里へ下る。初秋から続けてきた奥多摩通いは今日でひとまず終わるつもりだ。バイクの脇に座り込みゆっくりと休憩。目の前の街道はもう渋滞がひどい。氷川のガソリンスタンドで時間つぶしに日原の鍾乳洞見物を勧められた。


 日原街道を奥へと進む。日原線が薄暗がりの中対岸をついてくる。鉄塔が谷をこちらに渡ると、街道は逆に対岸へ渡る。
 その辺りから道が狭くなり谷が急になる、そして紅葉の崖の上に1回線鉄塔。秋の山は暗い赤や黄色に暮れていく。


 数10年ぶりの日原鍾乳洞見物を終え食堂に入る。「紅葉、来週まで持ちますか?」と聞く。奥多摩通い、やはりもう1回来よう。