日原線3号

日原線3号

11月13日の続き)


 せっかくの好天。バイクを走らせ小河内ダムの下へ行く。ダム下でハイカーがのんびり日向ぼっこをしていた。日差しの中の多摩送電線1号鉄塔。日差しを浴びてもこげ茶の衣装は目立たない。あいかわらず地味なやつだ。
 奥多摩の駅で水を補給し海沢へ戻る。草っ原で日原線の2号、3号に見下ろされながら食事。


 日原線にも登る予定だったがもう1時過ぎ。あまり高いところまでは行けないだろう。
 ハイキングコースではないが海沢から尾根伝いに本仁田山へ至る道があるはずだ。新しい住宅が建つ山の裾をうろつく。「ゴンザス入り口」――手作りの小さな道標を発見。入り口は木が覆いかぶさり塞がれていた。
 地形図に載っている道だが今はほとんど使われていないようだ。杉の葉が細い道の上に厚く積もり、ふかふかだ。暗い植林の斜面を登っていく。鉄塔巡視路標識
 「日原線2号鉄塔へ至る 往復」巡視路標識。ピストンか。寄りたいところだが時間の都合もある。もう1本上の鉄塔を目指しパス。


 息が切れ、上着を1枚脱いだころ3号への分岐。急な斜面を水平に入り込む。あまり良い道じゃない。急な切れ込みでは丸太を渡して道を作っている。でも目の前の丸太は白くスカスカ。完全に腐っている。
 ちとやばそうだ。ずるずると5メートルは落ちるかなあ。怪我をしないまでも泥だらけは必至。少し戻り高巻く。
 岩が露出し始めた。張り出している岩を乗り越えようと適当な岩角をホールドしたら、大きなかけらがぐらっと取れそうになった。おー怖わ。


 林が切れ伐採された尾根に出た。岩がむき出しガラで覆われた急斜面。日原線3号鉄塔は4本の足をしっかり埋めて立っていた。鉄塔の足元にザックを転がらないよう注意して置き、鉄塔を見上げる。
 里から仰ぎ見る3号は1回線の小さなかわいい鉄塔だが、足元から見る3号は力強く、とても大きく感じる。
 振り返ると何とも絶景だ。海沢の発電所は見えないが、遥か下の稜線を奥多摩線、多摩送電線が渡っていく。来て良かった。