奥多摩むかしみち

多摩川送電線15号

 暗いうちに起床。テントは夜露でびっしょり。お茶を沸かしていると不気味な朝焼け。天気が心配だ。
 出掛けに風景を楽しむ。対岸を奥多摩線が谷の出口へ向かって山を越す。手前直下に立つのは多摩川送電線の16号だろう。周囲の樹木が伐採されていて高原ムードだ。


多摩川送電線16号 林道を抜ける。舗装道に出ると愛宕神社――氷川の街が一望出来る。対岸には日原線の鉄塔。霧の中に霞んでほとんど見えない。今日は一日こんな天気なのかな。雨になるかもしれない。山に入っても眺望は期待薄だ。ここから登山道を登れば鉄塔に出るはずだが今日はパス。


 バイクで鋸山林道を登る。多摩川送電線11号鉄塔が林道脇に立っている。高さは20メートルほどだろうか、小さい焦げ茶に塗られた四角鉄塔だ。斜面に立っているから、脇の高いところから見ると、目と鼻の先に6万ボルトの送電線が見える。近過ぎてちょっと怖い。


 街道を上る。送電線は対岸の山の上を進んでいる。谷を渡る送電ケーブルは見えるのだが、鉄塔は木に隠されて見えない。
 地図に対岸の道は書かれていない。巡視路は通っているのだろうがどこから入れば良いものか。


 「奥多摩むかしみち」に入ってみる。「むかしみち」はJRの奥多摩駅から小河内ダムまで青梅街道の旧道を辿るとても静かなハイキングコースだ。地元の人の生活道でもある。バイクで通ることは可能だが、紅葉を楽しみながら歩く人も多くなってきた。舗装が切れた辺りからザックを背負って歩く。
 やはり木の間隠れにしか鉄塔をおがめない。山の上は針葉樹が多いが深く切り込んだ谷の両岸は広葉樹。茶色、黄色、まだ緑と混じった深い紅。多摩川送電線来週は深い紅色は真っ赤に染まりそうだ。


 谷に張り出すように立つ民家の軒先に柿の木が植わっている。山里の典型的な風景がちゃんと残っていた。
 小河内ダムまであと一歩だ。
続く