鉄塔の下でお休みなさい

JR古里線38号

 土曜は晴れ、日曜は下り坂らしい。土曜の未明に出発と決めたが、昨日の夕方メールが舞い込んだ。「週末に処理をして欲しい」。やれやれだ。あらかた片づけ終わったら朝の3時。出発する予定の時間だ。ままよと寝る。


 それでも昼過ぎ出発。今回は秘密兵器のテントも持参だ。もう紅葉シーズン、まず宿は取れない。山で寝よう。
 3時過ぎに古里へ着く。水の補給を兼ねて古里の足長おばさんにご挨拶。夕日を浴びて気持ちよさそうだ。背景の紅葉も柿の実も色を濃くしている。紅葉の盛りはあと1、2週でやって来るだろう。


 海沢までくる。氷川発電所の調整池に登る。ここに一旦溜められた水が導水管で氷川発電所のタービンを回す。水は小河内ダムから地下トンネルでやって来る。夕闇の中、音もなく大量の水が流れる。神秘的。神庭の調整池


 林道に入る。林道脇に鉄塔があるはずだ。しばらく行くと焦げ茶に塗られた鉄塔が立っていた。
 東電の看板より小さめの看板があり、

多摩川送電線15号 S32.12 東京都交通局

と書いてある。交通局管轄の鉄塔だ。高さは書いていない。
 伐採作業用だろうかトラックが1台置かれている。その横にテントを張る。夕食はタラコスパゲッティ風マカロニ。200g茹でたがちょっと足りない。
 コンロも寝袋も30年近く愛用の品。単純な道具は長持ちする。コンロは日帰りの行楽などで現役選手だが、寝袋の用途はもっぱら事務所での仮眠になってしまった。
 若いころは1人用のテントを担いで山へ入っていた。その愛用のテントを探したがどこへ行ったやら、仕方なくテントは新調。新しいテントは清潔で気持ちが良い。昔より軽くなったのはもっと良い。
 6時になると暗くなる。久しぶりの山の中。緊張するかと思っていたが寝袋にくるまってウィスキーをちびちびやるうち寝てしまった。鉄塔の下でお休みなさい。何とも幸せだ。


明日へ続く