大丹波の大王・古里の足長おばさん

新秩父線33?号


 奥多摩鉄塔探索の3回目に出かける。未明に出発。明け方青梅に到着。朝早くから開店の駅前マックで一服する。
 川井の多摩川大橋まで来ると低い雲が切れ始める。頭上の新秩父線の鉄塔が雲の上に顔を出す。この鉄塔は御岳の先から白丸辺りまで、広い範囲でとても良く目立つ。「大丹波(おおたば)の大王」と呼ぶことにした。


 前回辿り着いた古里変電所から逆に分岐鉄塔へ向かって見ていくことにする。


JR古里線38号 送電線は向かい側の高台、とても高いところから変電所に下りてくる。すらっとした背の高い38号。前面の足を長〜く伸ばして急斜面に立っている。「古里の足長おばさん」って呼ぼう。送電線は山肌に沿って急角度にまがり少し低くなった場所の37号に続く。
 巡視用の道標に従って37号の足元まで入る。37号は打って変わってずんぐり型。少し低い位置に立ち、山の上の36号から急角度で下りてくる線をつないでいる。


 ここから山の上に登れないものだろうか。巡視用の道はここで終わっているような感じだ。ルートを探していると黄色い棒杭らしきものが。近づいてこびりついた泥を払ってみる。手前は「奥多摩線No12 4に至る」、奥は「奥多摩線No12 3に至る」と書いてあった。
 やはりここに道はあったのだ。でもたぶん廃道。藪が深くてとても入る気がしない。
 ちょっと待て「奥多摩線」?この道標によればJR古里線37号は奥多摩線No12-4と呼ばれているように見える。名称が変わったのだろうか。


 街道に戻りぐるっと回り道をする。尾根の反対側から登れるのではないか。街道を外れ小さな集落へ続く道を登る。八雲神社という神社があった。都指定有形文化財と書かれているのに惹かれて急な石段を登る。
 山門のような建物をくぐり石段が延びる。この建物が舞台で観客はその先の段々から観劇するらしい。狭く急斜面が多い山里らしい面白い仕組みだ。段々に座ると誰もいない静かな風景に祭りの明かり、お囃子の音が通りすぎた。祭りの日に来てみたい。


 神社の裏手に行く道に入る。鉄塔巡視道標。巡視路は中学校のフェンスに沿って付けられている。遊歩道並に整備された階段を登り、中学の上に出るとそこが分岐鉄塔35号。
 低光沢処理というのか黒っぽい皮膜のアングル鉄塔。最近建て直されたのだろう土台のコンクリートも白い。
 そのすぐ先の小さなピークに鉄塔がある。これは対照的に古い、ずんぐり低い36号だ。


JR古里線37・38号 ピークに登り鉄塔の根元まで行くと古里の町とJR古里線の最後の2本が良く見えた。
 山を降りた低い場所に同じずんぐり型の37号、そして次の38号は打って変わってすらりとしたノッポ鉄塔38号。線の方向を90度変え、遥か下のJR古里変電所の最終引留鉄塔39号へと線は降りていく。
 山間の集落へと向かう送電線。心安らぐのは何故だろう。


 分岐鉄塔へ戻り良く観察する。線の分岐点を双眼鏡で見ると古里へ向かう線は細く、谷の奥へと進む線は太い。本線はこちらと教えてくれているようだ。
続く