なくなった鉄塔

sarumaruhideki2005-02-17

2005年2月12日の日記の続きの続きの続き)
 さあいよいよ今日の本題だ。隅田川は小台橋の横を送電線が通っているように地図には記載されている。前後に送電線が延びている様子はない。川の両岸に鉄塔があり川の部分だけ架空線が通っているようだ。左岸には変電所があるはずだ。この線が本当にあればまた記事を訂正しなければならない。


 目的の橋まで来る。川の上流を見る、送電線は影も形もない。変電所は確かにあるが鉄塔はない。すべて地下ケーブルで電気を受け送り出しているようだ。
 隅田川を渡る送電線の数を訂正しなくて済んだのはほっとした。でも送電線を見れなかったのはとても寂しい。複雑な気分だ。


 いったいどんな形の鉄塔だったのか。両岸とも引き下げ鉄塔だからすごく個性的だったに違いない。高さは?回線数は?建造年は?橋の上に立ち勝手に想像する。

 川を挟んで小振りな四角鉄塔が立つ。塗装が少しはげて赤っぽく見える。建造は戦後すぐだ。変電所側の鉄塔は変電所の鉄構へ斜めに線を渡す。反対側の鉄塔は下にバルコニーを出し、そこにまっすぐに線を下ろす。変電所側は横に広く腕木を張り出した典型的ドラキュラ鉄塔。対岸は腕木を川のほうに斜め突き出している。

 想像上の鉄塔はいい加減だが、かつて実在したふたつの鉄塔は川を挟んで対話するように立っていた。それだけは確かだ。


 何か痕跡でも残っていないだろうか。右岸へ入る。
 地図で見る限りこの辺りに鉄塔が建っていたはずだ。空き地がある。ここに立っていたのだろうか。見渡すが何の手がかりも見つからない。空き地の隣の堤防寄り、緑のフェンスで囲まれた土地がある。看板で見ると向かいの工場の倉庫兼駐車場といったところか。念のため入り口まで行って驚いた。

   駐車ご遠慮願います
 緊急時には作業車、作業員の支障
 となりますので出入口に駐車しな
 いようお願いします。

  東京電力

 これって変電所や鉄塔の入り口に必ず設置されている看板ではないか。ここに鉄塔が建っていて地下にケーブルを引き下げていたのに違いない。
 看板はその名残か。でも「東京電力」って…、今は送電施設は何も残っていないようだが。でも駐車除けには最高の看板ですねぇ。


 川の左岸は荒川変電所。
 変電所の横に駐車場がある。低いゲートで仕切られていたがちょっと入らせてもらう。奥のほうが広くなっている何か様子がおかしい。奥の一帯はアスファルトで舗装されていない。おまけに何本か鉄の蓋で覆われた溝が走っている。
 もしかして地下にケーブルでも引き回していたのか。変電所の構内などでよく見かける溝だ。どうやらこの上に鉄塔が立っていたらしい。溝は変電所へとつながっていた。
 思わず蓋を開けてみたくなったが感電しそうなので止めた。もちろん現在は何も通ってはいないだろうけど。かつては何万ボルトも通っていたに違いない。


 さあこれで今日の目的は達成。まだ少し明るい田端変電所にでも寄って帰ろう。川の下流にかかる千代田線の鉄塔が美しかった。鳩ヶ谷からやってきた送電線も後数本で変電所に到着である。





変電所名を「赤羽変電所」と誤記してました。荒川変電所に訂正します。