小山田線(図師から日大三高まで)

 万葉に多摩の横山と呼ばれた多摩丘陵。すっかり開発が進み昔日の面影はなくなったが、今も少し残った里山と畑や田んぼ。そんな丘の連なりを冬の鉄塔散歩で巡りたい。西東京変電所から橋本まで、多摩丘陵を東西に結ぶ南多摩線とその支線がお目当てだ。
 南多摩線は橋本変電所の周辺や西東京変電所でも見ているが、途中の区間でも一度探訪している(→2012年3月20日の日記)。その時発見した鶴川線と小山田線を最初にたどりたい。鶴川線は橋本変電所から南多摩線に併架している線で、小山田線はそこから分岐する送電路線だ。


 町田からバスで図師大橋まできた。ここの図師変電所に小山田線がやってくる。
 図師変電所は道路に面した配電変電所。クリーム色のパネル囲み。変電所内には小山田線10号が立っている。

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図師変電所と小山田線10号

 通りを越えて小山田線9号。見上げる高さの竹林に立っている。茶色に塗られ、竹林が鉄塔を侵食している。
 9号の西側に道らしきものありたどる。林に囲まれた畑の間をたどり終点に8号が立っていた。この鉄塔も茶色に塗られている。でも塗装は剥げていてちょっと惨めだ。

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小山田線8号

 ここまでは道があったのだが、この先に行く道がない。果樹園だったと思われる開けた場所を突っ切って進む。道に出た。ぐるっと回るのが正解だったようだ。
 多摩丘陵谷戸と呼ばれる谷筋に入り込む水田が有名だ(今はほとんど畑などに変わっているが)。それを取り囲む山は広葉樹林で覆われている。山の中の傾斜が緩い場所には畑やら果樹園やらがぽっかりと現れる。隠された秘密の畑といった感じ。それらを踏み分け道が縦横に繋いでいる。これが多摩丘陵の典型的な里山風景だ。


 8から7号はとても長い径間がある。線に導かれて小さな谷戸に出たら7号が見えた。道脇に巡視路と思われる階段。でもまたその先には道がない。竹林に潜り込む。小山田線7号はうっそうとした竹林に囲まれていた。枝を潜って進むが脚元は悪い。こんなところを歩くとは予想していなかった。

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荒れた竹林の中の小山田線7号


 荒れた竹林の急斜面を下って、少し開けたところに抜ける。小さな谷戸。畑の脇に道が通りその脇に6号が立っている。

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小山田線6号

 線下から道が5号方面に延びている。進むとすぐに5号に出る。5号は重角度鉄塔。短い径間で鍵の字型に送電路を曲げている。どうやらこの先にある学校のグラウンドを避けているようだ。
 ここまではみんな丸土台でフェンスなし。それは嬉しいがたどる道が分からない。おまけに鉄塔の周りはうっそうとした林。どうも鉄塔めぐりには向いていないコースだ。
 5号から急斜面をまっすぐ下りると下界に出た。小さな住宅地造成だ。その先、日大三中・三高のグランド脇、法面に立っているのが4号。カモメ型の美化鉄柱。腕金が太くて短い感じ。そして谷筋の自動車道に出た。

写真:「谷の先には小山田線2号が見えた」へリンク
谷の先には小山田線2号が見えた

 谷を越えて向かいの丘の上に入るとその先が長くなる。時間も4時過ぎだ、帰ることにする。道にバスは通っているが1時間に1本。しかたないので図師大橋まで歩く。道の脇は畑が続く、焚き火の煙がたなびいて、丘の上に8号鉄塔が立っている。冬の里山、藪漕ぎが多くて閉口したが最後にいい景色に出会えた日だった。

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小山田線8号