夏場に向けて火力再開と新設

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 各ニュースが昨日伝えたことによると、東京電力は火力発電所の再開に加え、小規模火力の増強などを急ぐ方針を固めたということです。要点は以下のようになっています。(この件に関してプレスリリースが出ていないので、ニュースが報じた内容に基づきます。)

  • 停まった火力発電所のうち、福島・茨城県内の早期再開は難しい。
  • それ以外の停止中の発電所では東扇島発電所(川崎)の再開を急ぐ。
  • 老朽化などで休止中の火力発電所の再開をする。
  • 以上の施策で4月末には需要を上回る供給量を確保する
  • 夏に向けては小規模火力の増強などを急ぐ。夏に向けガスタービンを使った火力発電所を新設。


 早期再開が難しいとする福島・茨城県内の地震で停止中の火力発電所

  広野(福島)   2、4号機
  常陸那珂(福島) 1号機
  鹿島(茨城)   2、3、5、6号機
と推定され、総計おおよそ550万キロワット分の早期再開が困難ということです。


 再開を急ぐ東扇島は100万キロワットです。


 老朽化などで休止していた火力発電所の再開は、たとえば横須賀火力発電所で、以下のような状況です。これらがすべて再稼働すれば200万キロワット程度の出力が見込まれそうです。

  • 1、2号機 廃止
  • 3〜8号機 長期計画

 横須賀以外でも休眠発電所があるようで、東電全体で3発電所、10基、約280万キロワット分の休眠火力発電所が存在しているようです。


 小規模火力とは30万キロワット級のガスタービン発電所のようです。これは比較的短い工期で建設可能とのことです。


 広野・常陸那珂・鹿島の復旧が早期には困難というのは痛いですね。暖かくなれば電力需要は落ちてくるでしょうから、4月末までに需給を均衡させることはできるのでしょう。
 問題は夏場です。夏場は電力需要がとても大きいのです。

月別の最大電力(発電端・1日最大)は以下のようになっています。

H13 6430万KW 7月
H20 6089万KW 8月
H21 5450万KW 7月


 「計画停電」のプレスリリースで発表されている、現在の実際の供給能力は3500万キロワット程度のようですから、あと2000万キロワット程度は欲しい状況と思われます。
 夏場の需要のうち冷房に使われている分は30%強と推定されています。つまり1500万キロワット以上が冷房の電力ですから、これを減らす以外手はないでしょう。どうやら夏場の計画停電は不可避ですね。
 何とも辛いところですががんばりましょう。熱中症対策を充分とった上で冷房を切りましょう。
 健康な人なら寒くて死ぬことはあっても、通常、暑くて死ぬことはありません。