清水トンネルの影の立役者

 大穴のスキー場の向かいの駐車場のようなところに清水南線55号が立っている。低いレトロな姿に思わず車を降りる。オフセット付きの腕金。碍子は若番側は2連の耐張。老番側は1連。
 1連? おやその先には建物が、どうやら清水南線の最後の鉄塔のようだ。建物はJRの水上変電所だ。

清水南線55号


 JRの上越線清水トンネル開通によって繋がるのは1931(昭和6)年のことだ。そしてこの区間(水上‐石打間)は9キロを越す清水トンネルの保安上の観点から、当初より直流電化され、電気機関車の牽引により運転されたのだそうだ。清水南線55号に残る「昭和6年6月」の鉄塔札はその証人の一人だろう。だとするとこの鉄塔は清水トンネルの影の立役者ということになる。

同 鉄塔札
水上変電所


 ここでまたまた不思議なことに気がついた。JRの送電線がすぐそばを通っているのになんで東電なのか? 答えは簡単だ。JR送電線が通ったのは昭和14年。つまり清水トンネル開通には間に合わなかったのだ。