夕暮れの千南線

千南線特6号

2007/12/15の5)
 分水堰の小田急向ヶ丘線17号は跡形もなし。たしかこの辺りと観察するが芝が生えているだけ。二ヶ領用水沿いの木柱もきれいさっぱりなくなった。遊歩道の敷石の色が少し変わっているところがもともとの場所だろうか。


 国道246まで用水沿いに歩いた。木柱の痕跡は見当たらない。きれいさっぱりすっきりぽん! この細い用水の上を何本もの木柱に支えられ1本の送電路が通っていた。その風景を思うと淋しくなる。でもこれでいい。


 前回訪れたときこう嘆いた。「用水の円筒分水堰は近代遺構という文化財なのにその横に並ぶ木柱たちには何の勲章もくれない」と、そして1年余、彼らは静かに消えていった。それでいい。
 現役を続けるものが過去の遺構よりはるかに尊く、博物館に保存された過去よりも、たとえ数人としても心の中で生き続ける過去は素晴らしい。


千南線特6号
 帰り道は川世線を多摩川までたどって帰ることにした。
 いつの間にか雨雲がやってきてポツリポツリと冷たい雨が落ちてきた。上空は黒い雨雲、地平線は夕暮れの明るい空。セメント工場の中に立つ千南線の特6号の骨組みが明るい夕空をきれいなリズムで区切っていた。
2007/12/15 終わり)