夕方の散歩

篠崎線19号と篠崎変電所

 夕方、近所の鉄塔、篠崎線を散歩する。今日は瑞江駅周辺、最終鉄塔の立つ篠崎変電所から歩き始めた。
 この送電路、近所の鉄塔の中で一番ホッとする路線なのだ。


 発電所で生まれた電気は高電圧で巨大な鉄塔を連ね東京の外周までやってくる。そこから電圧を下げながら中間の拠点変電所へ、そして再度電圧を下げ地域の配電変電所へと進む。そこから先は鉄塔ではなく電柱の世界。
 だから送電鉄塔配電変電所まで来なければいけない。でも地中化が進んで多くの配電変電所には鉄塔がない。


 ここでは配電変電所へのローカルな鉄塔たちが生きている。15万ボルトの大きな小松川変電所から、20本に満たない数の小さな鉄塔を連ね、6万ボルトのとても小さな篠崎変電所へ。自分の家まで鉄塔たちが電気を届けてくれている。それがたまらなく良い。
 変電所の近辺に来ると畑も多くなり、ゆったりと時間が流れているような気がする。それもとても良い。

篠崎線13号

 篠崎線はこれといって特徴のない30メートルを少し超える程の低目の鉄塔たち。人の身の丈にあった高さが心地よい。


 特徴といえば頭の三角帽子がやたら長いことかな。それが安定した素敵なシルエットを作る。
 夕方の風景に鉄塔を添えるとしたらぜったいに篠崎線の鉄塔がいい。
 私はこの土地の生まれではない。でも子供の頃、夕焼けの中で見た鉄塔はこんな鉄塔だったような気がする。


 公園に立つ13号。細長三角帽子の中にカラスの巣があった。
 夕焼け小焼けで子供たちが公園から帰る頃、カラスは公園の我が家に戻るのかしらん。しばらく巣を見上げていたがもう巣立って空家なのか、カラスが戻ってくることはなかった。