箱型の腕金

新丸子線?の鉄塔と相武線最終鉄塔

(「飛んだ帽子」の続き)

 新丸子線を始めてみたのは安方線を辿った日の夕方。帰り道に相武線のドラキュラ鉄塔を発見、東京電力矢口変電所へ立ち寄った。(2005年6月26日の日記参照


 変電所の中に風変わりな鉄塔を発見した。四角い箱とくさびを組み合わせた腕金。でもそこで線は止まって、引き下ろされてはいない。よく見ると碍子もないではないか。一体これは何なんだ。


 線を辿って線路際の細い道に入りこむ。線路際に現れたのはこれまた見たこともない鉄柱。鉄柱の真ん中に鉄骨で組まれた箱がついている。錦絵で見た明治時代の電柱をちょっと思い出す。新丸子線27号
 鉄塔名は新丸子線27号。碍子は3つ。線が細い。2万ボルトの送電路だ。


 ミニチュアのようなドラキュラ型の腕金から送電線が引き下ろされ地下ケーブルに接続している。道路を挟んで向かい側は東急電鉄の新田変電所。送電線はここに入る。


 矢口変電所のほうに戻るケーブルを見ると碍子がない。当然、電気も流れていない。
 矢口変電所まで張られたケーブルはこの鉄柱を支えるためだろうか。そうではないだろう。矢口変電所の鉄塔は風変わりだが、間違いなく構造は引き下ろし鉄塔だ。かつては送電されていたに違いない。


 鉄塔に張られた標札を見る。昭和14年8月の文字が。これは心して辿ろう。


続く