新潟の停電事故

新丸子線の相間スペーサー

 爆弾低気圧の影響で全国的に大荒れだったようだ。送電鉄塔にも大きな被害が出た。昨日の朝、関西電力大阪府など約70万戸が一時停電、東北電力では新潟中心に65万戸が停電したとニュースが報じている。


Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051222-00000095-mai-soci


 関西のほうは40分程度で回復したようだが、新潟は深刻で停電戸数が1万戸以下になったのが今朝の3時過ぎ。深刻な被害だ。
 原因については関西電力は「雪の影響による送電線事故(詳細について調査中)」とそっけないが、東北電力

原因につきましては、塩分を含む氷雪が電線や碍子に付着し絶縁できないことや、送電線の動揺(電線どうしの接近などによるショート)などによるものと思われます。

と書いてある。

Yahoo!ニュースに原因について東北電力新潟支店のコメントが載っている。

(前略)
東北電力新潟支店は22日、着雪した送電線同士が風にあおられて接近・接触しショートする「ギャロッピング現象」が起きたとの見方を示した。
 電力中央研究所の清水幹夫・地球工学研究所主任研究員によると、(中略)「何度もショートした地域もあり、ギャロッピング現象を繰り返した可能性が高い」と分析する。
 さらに、同支店によると、新潟市と聖篭町にある二つの火力発電所から同市内へ電力を供給する5ルートの送電線のうち、4ルートで同現象などによるショートが発生。両発電所の送電を停止し、他の発電所からの送電に切り替えようとしたが、迂回(うかい)ルートも被害に遭い、停電が長期化した。
(中略)
 同現象を防ぐため、同支店は送電線の間に取り付ける棒状の絶縁器具「相間スペーサー」の設置を進めてきたが、今回は未設置個所で次々とショートが発生。
(中略)
 風でまき上げられた海水が鉄塔の絶縁体に付着しショートさせる「塩害」も起きていた可能性がある。この場合、作業員が鉄塔に登って塩分を含んだ氷雪を除去する必要があるが、22日の新潟県内では、暴風雪のため作業が難しかった。


 暴風雪の中、送電路の復旧に多くの人が努力されたのだと思う。暴風雪の中鉄塔に登り碍子を洗う!! 考えただけでもぞっとします。本当にご苦労さまでした。


 ギャロッピング現象、スリートジャンプ、送電線の雪害対策については『Yoshiro's』の中の下記のページが分かりやすい。

http://www.ayame.sakura.ne.jp/~yosihiro/66QandA/N_Yuki/N_Yuki.html

 過去の送電線事故では『送電鉄塔見聞録』の「送電監理センター」に「風雪による送電鉄塔の倒壊事例(神奈川県厚木市)」が載っている。

http://transm.web.infoseek.co.jp/soudenn1000.html


関西電力ニュースリリース
http://www.kepco.co.jp/teiden/normal_1/teiden0512221200.html
東北電力ニュースリリース
http://www.tohoku-epco.co.jp/whats/news/2005/51223a05.htm


 写真は新丸子線の相間スペーサー。東京でも河川横断など径間が長い区間で見ることができます。