巨大な鉄塔、豆粒の鉄塔

JR古里線28号

 天気予報は今日は雨、明日は少し回復するという。でも今日が晴れと勘がささやく。朝早く目覚めたこともあり「奥多摩送電線巡り」の2回目に出る。(1回目は10月1日の日記
 前回は多摩川第三発電所から延びる多摩川三線を5号鉄塔途中まで確認。今回は多摩川三線と本線(?)の送電路が合流する地点からスタートの予定だ。


 秋川街道経由で奥多摩へと向かう。まず秋川のほとりで新多摩変電所に集まる鉄塔達を遠望。50万ボルトの送電線が集結している。すごい眺めだ。その先では1回線の秋川線や27万5000ボルトの青梅線、そして山の上を走る新所沢線を眺め、と寄り道続き。早出の分は到着前に使い果たす。


 昼前に沢井に到着。地図で確認しておいた谷沿いの村道を登っていくと「高水三山登り口」の看板があった。バイクを捨て山に入る。
 前回懲りたので今回はちゃんと山拵え。整備された山道。快適だ。


 暗い杉林の中を谷沿いに上る。道が二手に分かれるが鉄塔巡視用の道標がちゃんと設置されている。右はJR古里(こり)線の27号、左は28号に至る。どうやら私の目指す鉄塔は「JR古里線28号」らしい。(JRとついているが東電の送電路だろう)
 道は谷沿いに高度を稼ぎ、折り返して尾根筋へ登っていく。尾根に出る手前で杉林の向こうに2基の鉄塔が現れた。そこにも巡視用道標。さらに進むと29号へ辿れるようだ。
 20分程度の上りで到着。ここまでは楽勝だったが、うっかり鉄塔への踏みわけ道を見損ない、鉄塔を巻く形で行き過ぎた。引き返すのが嫌いな私は藪を漕ぎ、ガレ場を無理やり直登、やれやれ疲れた。鉄塔の少し上部へと出た。


 伐採された斜面に2本の鉄塔が待っていた。高いところに立つ鉄塔は2回線の四角鉄塔。茶色に塗られている。JR古里線28号だ。そのすぐ下にやぐら形の小さな1回線鉄塔。こちらは多摩川三線10号鉄塔。
 下の鉄塔から送電線が延び、上の鉄塔に繋がっている。多摩川三線とJR古里線の合流点だ。
 ケーブルの合流部分を双眼鏡で覗く。JR古里線の送電ケーブルに比べて多摩川三線のケーブルはとても細い。谷底の発電所で作られた細い電気の流れがここで太い流れに注いでいるんだ。ちょっと感激。


 鉄塔の下は芝が植えられ、予想通り雲が切れ青空が広がる。ちょうど昼、ここでお弁当…しまった水も弁当もバイクへ置きっぱなし。仕方がないので煙草を吹かす。
多摩川第三線8号 やぐら鉄塔


 それにしても景色が素晴らしい!!
 JR古里線は奥多摩の谷沿いに山の中腹を延びる。小さな尾根の襞ごとに鉄塔が立ち線を受け渡していく。みな40mそこそこの普通の大きさの三角帽子鉄塔だ。
 谷底の発電所から1回線の多摩川三線がやって来る。短い間隔で鉄塔が立ち、山の斜面を少しずつ登ってくる。こちらは20m前後の小さなやぐら形の鉄塔が多い。
新秩父線(27号?)
 そして新秩父線の巨大な鉄塔群。頭に鋭い角を張り出し、秋川方面から大きなステップでやって来る。高さは80m前後か、山の頂に立つのは100m近くもあるだろうか。彼らにふさわしい立派な尾根筋に立っている。


 大きな山と対等に釣り合う巨大な鉄塔。山肌を這うように進む豆粒のような小さな鉄塔。住む世界が異なるような鉄塔達も辿ればどこかで繋がっている。大きな送電ネットワークの手をつなぎ合う仲間たちなのだ。それぞれが違う役割を担って山を越えていく。


続く