懐かしの土地

千歳変電所へ入る北堀線

 世田谷に用があった。用が済んで帰ろうかと思ったがまだ日がある。ちょこっと寄り道。北堀線沿いに千歳変電所へ行く。


 北堀線は和田堀変電所から神田川沿いに進み、ずいぶん前に1年ほど住んだアパートのすぐ下を通り、通っていた明治大学の和泉校舎の下を通る。馴染みのある場所ばかり通るこの線じっくり歩いて辿りたいが今日は時間がない。環八との交差までショートカット。


 どんどん日が傾く、太陽と競争だ――走れメロス状態。鉄塔は甲州街道の少し奥を平行して走っている。鉄塔をチラチラ見ながら甲州街道を走る。ちょっと危険ですねぇ。この辺りから甲州街道ケヤキの並木になる。新緑の頃なら最高だなぁ。


 しばらくすると送電線は奥のほうへ消えていった。そこで右折して北上。
 すぐに目の前に2本の鉄塔が、和田堀線と北堀線だ。この路線は途中からほとんど平行して進んでくる。
 路線に沿って遡る。どうやら日のあるうちに変電所まで行き着けそうだ。1本くらいちゃんと見ていこう。ちょっと低めの鉄塔に立ち寄ってみる。おー!昭和25年生まれですか。俺と同い歳じゃないか。またまた近しいものを感じる。


 千歳変電所は北烏山にあった。変電所を一周して集まる鉄塔たちを確認する。東からは和田堀線と北堀線。北から北多摩線。西は中富線。そして南に川世線。聞いたことのある有名路線が集まっている。大したものだ。
 東京都内地場回りの私としては川世線はチェック路線だ。


 私の高校は京王線を挟んでちょうど反対側。あの頃から歩き回るのは好きだったのでこの辺りも歩いているはずだ。もっともあの頃は烏山の寺町のお墓ばかり見ていたか、そうでない時は多摩川上水や神田川を辿っていた。下ばかり見て空の上の送電線は見えなかったのかなぁ。まあ空を見るよな柄じゃなかったことは確かだ。


 和田堀線、北堀線そして川世線。これは私の思春期から青春を辿る旅になるかも知れない。