ポンプ線

隅田線17号

 荒川を渡る送電線には「〜ポンプ線」という送電経路が共架されていることが多い。昨日の船堀橋線にも1回線東小松川ポンプ線というのがあった。
 この「ポンプ」はポンプ所を指しているようだ。ポンプ所は雨水をくみ上げて川に流す施設だ。


 江東区江戸川区は零メートル地帯などと言われて、川の水位より土地が低かったりする。それでなくとも東京は昔から洪水に悩まされてきた。今の江戸川のところを流れていた利根川を銚子に付け替えたのは徳川さんで、隅田川を流れていた荒川を付け替えて現在の荒川を作ったのは明治、大正、昭和の3つ御世に渡る大工事だ。(私は学校で「荒川放水路」と教わったが今は単に荒川というらしいですねw)


 川を付け替えても洪水は起こる。荒川ハザードマップによると洪水が起こると私の住居あたりは水深が2〜5mというから困ったものだ。実際に昭和22年のキャサリン台風では江戸川区は全域水没している。(もっともキャサリン台風の洪水は荒川ではなく利根川の決壊が5日間をかけて延々と江戸川区までやってきたのだが…)


 ということでポンプ所は川の手に住む私にとっては水門、堤防とともに大切な施設。そんな大切な施設に何回線かを専用で送っている送電線――何とぜいたくな!!――を見るとちょっとうれしくなる。


*写真は荒川手前に立つ隅田線の17号鉄塔。川の対岸にある隅田変電所からやってくる堀切ポンプ線22KV2回線を下ろしている。隅田線はこのポンプ線を加えて川越え区間だけ4回線になる。写真の右に写っているのが堀切ポンプ所だ。
*荒川の歴史については荒川下流河川事務所の荒川歴史教室がたいへん参考になる。(http://www.ara.or.jp/history/index.html)
*荒川ハザードマップ(荒川洪水推定図)も同事務所サイトにある。(http://www.ara.or.jp/shinsui/index.html)